委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 真琴さんに何を言われるんだろう、と思ったら、彼女は僕の携帯からスッと手を引き、何も言わなかった。どうしたのかなと思って後ろを振り向くと、彼女は目を大きく見開き、僕を見ていた。


「真琴さん?」


 と僕が声を掛けると、ようやく彼女は口を開いた。


「玲奈さんって……えっ?」


 真琴さんは酷く驚いているようだ。でも、何に?


「もしかして、彼女を知ってるんですか?」

「知ってるって……わたしが玲奈さんを?」

「はい」

「えっと……知ってる人に玲奈さんという人はいるけど、その人かどうかは、ちょっと……。その桐島玲奈さんって、どういう人なの?」

「あ、はい。同級生で、クラスの委員長で、頭が良くて、無口で静かな人です。最近友達になったばかりだから、それ以上の事はわかりません」

「へ? ああ、そうなんだ……」


 僕の説明に、なぜか真琴さんは気が抜けたような声を出し、がっかりしたかのように表情を曇らせた。


「真琴さんが知ってる“玲奈さん”とは別人ですか?」

「さあ……どうなんだろう。知ってると言っても、知り合いのそのまた知り合いみたいなものだから、わかんないや」

「そうですか……」


 と、その時……


「悠斗、誰かとメール?」


 いつのまにか母が近くに来ていた。そして、僕が桐島さんとメールしてた事を知られたっぽい。これはちょっと、まずい事になったかも……

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