委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 田村さんは、さも申し訳ないという顔でそう言った。


「何かあったんですか?」

「それがね、美紗子さんの患者の容体が急変したそうで、病院から呼び出しがあったそうなんだ」

「そうなんですか……」


 美紗子というのは母の名前だ。つまり、母はある大学病院の医師で、母が担当する入院患者の容体が悪化したため、休暇を切り上げで病院へ行かなければいけないらしい。

 そう言えば、母は何科の医者だったっけかなあ……

ああ、精神科だったな。確か。


「美紗子さんは1人で電車で帰ると言ったんだが、みんなで帰る事にしたんだよ。それで良かったかな?」

「もちろんです。田村さんと真琴さんには申し訳ないですけど」

「いやいや、僕らは構わないさ。昨日一日で十分に楽しんだしね」


 という事で、僕達は急いで朝食を食べ、早々に別荘を後にした。


「なに笑ってんのよ?」


 車が走り出してすぐ、隣の真琴さんから言われてしまった。どうやら僕は、無意識のうちにニヤけてしまっていたらしい。なぜなら……

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