委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「母さん……?」

「いい? あなたは受験生なのよ? 女の子と遊んでる場合じゃないでしょ?」

「遊ぶだなんて、僕はそんな事は言って……」

「いいえ。もしその子に偶然再会したら、あなたはどうするの? 話し掛けて、お付き合いしたいと思ってるんじゃないの?」

「そ、それは……」


 確かにそうかもしれない。あくまで願望だけども。


「あなたの気持ちは解るのよ? 年頃の男の子なんだから、当然だとも思うわ。でもね、今一番大事なのは何なのかという事よ。来年の大学受験でしょ? 違うかしら?」

「それはまあ……はい」

「でしょ? 長い人生のたった半年だもの、我慢出来るでしょ?」

「う、うん……」


 我ながら情けない気がするけど、僕は母に抵抗出来ず、反論すら出来なかった。母の言う事は道理に適っているように思うし、何より僕があの少女と付き合うなんて事は、到底あり得ないと思ったからだ。

そもそもあの子と再会なんて、出来ないんじゃないかな。


「じゃあ、僕はそろそろ寝るよ」

「おやすみ。あ。寝る前に、ちゃんとお薬飲んでね?」

「うん、わかってる。おやすみ」


 僕は毎晩寝る前に薬を飲んでいる。定期的に母から渡される錠剤の薬を。母は安眠剤だと言ってたけど、確かにそれを飲むとよく眠れるんだよね。

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