委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「具合はどう?」

「う、うん。だいぶ良くなったけど、まだちょっと……」


 本当はすっかり良くなっているのだけど、僕は嘘をついてしまった。本当の事を言ったら、もう看病の必要はないわけで、そうなると桐島さんが帰ってしまうと思ったからだ。


「そうなんだ。あ、お腹空いてない? 何か食べられそう?」

「ん……どうかなあ」


 と曖昧に返したら、僕の腹がキュルキュルと鳴った。胃は正直なもので、僕ははっきりと空腹だ。壁の時計は夕刻を指しており、今朝食べた朝食を全部吐いて以降、何も食べていないのだから当然だけれども。


「うふ。やっぱりお腹空いてるみたいね?」

「そ、そうだね」

「お粥食べられる?」

「え? 食べられるけど、作ってくれるの?」

「作るってほどじゃないの。レトルトのをレンジでチンするだけだから」

「あ、そうなんだ。じゃあ僕も……」


 そう言って僕が体を起こそうとしたら、その肩を桐島さんの柔らかな手で押さえられてしまった。


「相原君はここにいて?」

「でも、わかる? レンジの使い方とか、食器の場所とか……」

「大丈夫だと思う。もしどうしても困ったら聞きに来るから。ね?」

「う、うん」

「じゃあ、ちょっと待ってて? すぐだから」

「はい、お願いします」


 桐島さんはニコッと笑い、軽い足取りで僕の部屋を出て行った。僕は不埒にも、ショートパンツに覆われた彼女の丸いお尻と、そこから真っ直ぐに伸びる白い生脚に見入ってしまった。

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