委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
もう一人の悠斗
 ふと見ると、ガラスのローテーブルの上に、参考書か問題集が開いた状態で乗っている。おそらく僕が寝ている間、桐島さんはそこで勉強していたのだと思う。真面目な桐島さんらしいな。

 どのくらいの時間、彼女はそうしていたのだろう。1時間か2時間か、あるいはもっとか?

 ああ。そんな事とは露知らず、僕は呑気に眠りこけていたわけで、なんてもったいない事を……


 それにしても、よく桐島さんは来てくれたものだと思う。

 彼女の様子を見た限り、真琴さんが大げさに僕の容態を伝えた、という事はなさそうだ。にも拘らず、わざわざ行った事もないこのマンションまで、本当によく来てくれたと思う。

という事は……

 桐島さんも僕に対し、友達以上の気持ちを持ってくれている。そう考えても良いのではなかろうか。

 いやいや、過度な期待は良くないな。桐島さんは友達思いなのかもしれない。あるいは、頼まれるとイヤと言えない性格とか。うん、そう考えた方が自然かな。


 なとど考えていたら、部屋のドアがコンコンとノックされた。


「は、はい。大丈夫です!」


 って、何が“大丈夫”なんだよ、自分!?

 咄嗟に変な返しを僕がしたからか、ドアを開けた桐島さんは、いくぶん目を泳がせ、頬を赤く染めていた。もちろん、そんな彼女もすごく可愛いのだけども。

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