委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
あと数日で夏休みというある日。学校を出て駅に向かって歩いていると、急に雷が鳴り出し、たちまち大粒の雨が降りだした。
傘を持っていない私は、取り敢えず眼鏡を外し、頭に手をやって走り出した。雨宿り出来そうな場所を求めて。
ちなみに私が眼鏡を掛けるようになったのは、去年の夏休みからだ。視力はあまり良くはなかったけど、と言っても眼鏡を掛けるほどではなくて、それよりも目元を人の目から隠したかったからだ。あの頃の私は、よく目をぶざまに腫らしていたから。特に寝起きは……
私の前方を、紺色の小さな傘を差した背の高い男子が歩いていた。その時は誰かはわからなかったのだけど。そしてその横を私が走り抜けた直後、背後で声がした。
「ちょっと、君!」
私はその声に、まるで急ブレーキが掛けられたかのように足をピタリと止めた。なぜなら、強烈なデジャブ(既視感)を覚えたから。
あれは忘れもしない、一昨年のある秋の日の事。二駅ほど離れたある駅の近くの大型書店の帰りに、今日と同じように急に雨が降りだし、やはり傘の無かった私は駅へ向かって駆け出した。と、その時、後ろから『ちょっと、君!』と呼び止められたんだ。あの人、つまり田村悠斗さんに……
傘を持っていない私は、取り敢えず眼鏡を外し、頭に手をやって走り出した。雨宿り出来そうな場所を求めて。
ちなみに私が眼鏡を掛けるようになったのは、去年の夏休みからだ。視力はあまり良くはなかったけど、と言っても眼鏡を掛けるほどではなくて、それよりも目元を人の目から隠したかったからだ。あの頃の私は、よく目をぶざまに腫らしていたから。特に寝起きは……
私の前方を、紺色の小さな傘を差した背の高い男子が歩いていた。その時は誰かはわからなかったのだけど。そしてその横を私が走り抜けた直後、背後で声がした。
「ちょっと、君!」
私はその声に、まるで急ブレーキが掛けられたかのように足をピタリと止めた。なぜなら、強烈なデジャブ(既視感)を覚えたから。
あれは忘れもしない、一昨年のある秋の日の事。二駅ほど離れたある駅の近くの大型書店の帰りに、今日と同じように急に雨が降りだし、やはり傘の無かった私は駅へ向かって駆け出した。と、その時、後ろから『ちょっと、君!』と呼び止められたんだ。あの人、つまり田村悠斗さんに……