委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「そもそも、姉貴にそんな仲のいい友達なんていないだろうが」

「何言ってんのよ。友達の一人や二人……」

「いないだろ?」

「それは……」


 貴志ったら、私に友達がいないって、なんで知ってるんだろう。学校は違うし、普段、貴志とはそんなに話してないと思うんだけどなあ。


「おれ、姉貴の事はよく観察してるし、姉貴が思ってるよりおれは姉貴のこと、解かってるつもりなんだ」

「…………」

「最近の姉貴を見てると、ずいぶん変わったと思うんだ。変わったというより、戻った、かな。一年前に。よく笑うようになったし、楽しそうだし」


 私は返す言葉がなかった。貴志が私を観察してるとか、解かってるとか、思ってもみなかったから……


「ズバリ姉貴は恋してると思ったんだ。でも、その相手があの田村とかいう奴だったら、おれは……」

「違うって言ってるでしょ!」

「…………」

「彼のわけないじゃない。外国に行って、それっきりなんだから……」

「じゃあどんな男?」

「え?」

「もう白状したも同然なんだからさ、どんな奴か教えてよ? お袋たちには言わないから」


 負けた……。我が弟ながら鋭いな、こいつは……

 私は観念し、貴志に相原君の事を話した。ただし彼の声が悠斗とそっくりだとか、そういう事は一切言わず、まだ付き合ってるわけじゃないのだと、言い添えて……

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