LOVE or DIE *恋愛短編集*
春日の細い指先が、つ、と背中をなぞっていった。
決して摩擦熱を生まない、たどたどしく弱々しいひと筋。

それが一気に、円佳の熱を上げた。


――こんな、ところで。


庇護欲でも姉妹愛でもない。
ずっと目を背けてきたそれは、情欲。


口には出せなかった。
許されないと思っていた。

否――円佳は自身に、それを赦そうとしてこなかった。


「先輩、私のこと、お嫌いでしょう」


繰り返された、同じ質問。
今度は彼女が答えを求めていないことを、円佳は分かっていた。

小さな身体が抱きついてくる。
体温を分け合おうとでもするように。

もう冷えてなどいなかった。
そんなことを、円佳の身体は必要としていなかった。

なのに。


ぎゅっと抱きついてきた、背の低い春日の顔が寄せられたのはちょうど円佳の胸元だった。

漏れそうになる声を、円佳はぎりぎりで耐えた。
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