LOVE or DIE *恋愛短編集*








『いつか2人で、日本一周しようね』





免許を取った。

車を持った。

ドライブ好きな友達がいた。

運転が好きになった。




まだ見ぬ景色を開拓しに行くのが、いつからか長期連休の楽しみになっていた。




北海道を訪れたのは、大学生4年の夏休み。

向日葵畑ではしゃぎすぎて、夕陽が綺麗だという海岸線を走る頃にはもう何も見えないくらい真っ暗だった。



「北海道、街灯なさすぎ!」



暗闇を疾走する。

窓は全開で、風が波音を乗せて車内に入り込んでくる。

夕陽を見ながら快走する予定だったけど、そんなものはなくても十分に楽しかった。



「北海道の500キロは、遠いような、近いような……」

「近い。……気がするけど、やっぱ時間は食うよね」

「物理的に?」

「物理的に!」

「気分的には?」

「近い!」



信号もほとんどない長い道筋、渋滞もなく、たまに野生動物が飛び出してくる以外の障害物がない北海道の道は最高だった。

都会だとノロノロ運転にうんざりする距離が、ワクワクする。



「海鮮丼美味しかったね」

「明日のお昼はジンギスカンだよ!」

「お昼に羊まで辿り着けるかな」

「最悪、夜でも」



旅先は無駄にテンションが上がる。

大した会話はしてなかった。
景色は真っ暗のまんま、何も変わらないし。

なのに、楽しくてしょうがない。




目指すは北の果て――宗谷岬。

私と真希は、『最○端』と名の付く場所が大好きだった。
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