LOVE or DIE *恋愛短編集*
一番先っぽってだけで、特に何も特別なものなどない時も多い。

宗谷岬は、岬と呼ぶには緩やか過ぎるカーブだった。


「……これが岬」

「うん、そして最北端」


真夜中にチェックインした近くのホテルで軽くシャワーと仮眠だけ。

そして早朝から出発して目指した岬は、海岸線沿いの緩いカーブを気持ちよく楽しんでいると唐突に現れた。


危うく通過するところだった。


「なんとなく地図とガイドブックから想像はしてたけど」

と、真希がくすくす笑う。

「とにかくこれで、北も制覇だね」

と、私も笑う。


一個ずつ『端っこ』を制覇していく。
そのひとつが塗りつぶされた、それだけで嬉しかった。


駐車場、らしきスペースに車を滑り込ませる。
オブジェみたいのがいくつかあって、順番にまわっていく。

楽譜が彫られた歌碑に近づくと音楽が流れて、知らない歌なのに無駄にはしゃいだ。

それから、最北端の地の碑。


「真希、車寄せれる!」


ここまでマイカーで来た、証明写真。
最端を示す碑に車でここまで近づけるのは初めてだ。

大興奮で、代わりばんこにその碑と車の前で写真を撮っていると――


「お、湘南ナンバー?」

その男は、突然声をかけてきた。
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