LOVE or DIE *恋愛短編集*
プロローグ
「彩萌!」
佐野 悠太が大声で呼びかけると、廊下の先を歩いていた少女は肩まで伸びた髪を揺らして振り返った。
「あ、悠太。おはよう」
「おう!これ、サンキューな」
英語のノートを手渡すと、一瞬きょとんとした彼女は、ああ、と頷いてそれを受け取る。
「役に立った?」
「助かったわマジで!」
幼馴染の柏木 彩萌(アヤメ)、彼女のまとめたノートは分かりやすくて、授業中の居眠りで空いた穴を十二分に埋めてくれていた。
「よかった」
嬉しそうに笑った彩萌がノートを手に立ち去ると、周りにいた友人たちが悠太を一斉に取り囲む。
「おい、お前、柏木とやけに仲良いよな」
「付き合ってんのか?」
ニヤついた友人たちの言葉に応えるのも面倒でシカトを決め込むが、後に続いたセリフは聞き流せなかった。
「つーか、柏木ってあの【柏木 祐輔】の妹だろ!?」
「え、マジかよ!大丈夫なの!?」
一斉に脅えたように後退り、去って行った彩萌の背中と悠太の顔を交互に確認する友人の行動が癇に障り、思わず反論が口をついて出る。
「輔兄ちゃんはウワサほどひでぇ人じゃねえ」
だがその【輔兄ちゃん】という言葉に反応したのか、周りの空気が一瞬にして固まった。
――しまった。
人前ではそう呼ばないように気を付けていたのに、ついムキになってうっかりした。
佐野 悠太が大声で呼びかけると、廊下の先を歩いていた少女は肩まで伸びた髪を揺らして振り返った。
「あ、悠太。おはよう」
「おう!これ、サンキューな」
英語のノートを手渡すと、一瞬きょとんとした彼女は、ああ、と頷いてそれを受け取る。
「役に立った?」
「助かったわマジで!」
幼馴染の柏木 彩萌(アヤメ)、彼女のまとめたノートは分かりやすくて、授業中の居眠りで空いた穴を十二分に埋めてくれていた。
「よかった」
嬉しそうに笑った彩萌がノートを手に立ち去ると、周りにいた友人たちが悠太を一斉に取り囲む。
「おい、お前、柏木とやけに仲良いよな」
「付き合ってんのか?」
ニヤついた友人たちの言葉に応えるのも面倒でシカトを決め込むが、後に続いたセリフは聞き流せなかった。
「つーか、柏木ってあの【柏木 祐輔】の妹だろ!?」
「え、マジかよ!大丈夫なの!?」
一斉に脅えたように後退り、去って行った彩萌の背中と悠太の顔を交互に確認する友人の行動が癇に障り、思わず反論が口をついて出る。
「輔兄ちゃんはウワサほどひでぇ人じゃねえ」
だがその【輔兄ちゃん】という言葉に反応したのか、周りの空気が一瞬にして固まった。
――しまった。
人前ではそう呼ばないように気を付けていたのに、ついムキになってうっかりした。