LOVE or DIE *恋愛短編集*
「ナイッショーッ!悠太!!」

ベンチから雅樹の大声が響く。
西中の応援席は先制点に湧いた。

「ナイスフェイク」

ポイントガードの先輩からのハイタッチ。

「あざっす」

バチン、と手を打ち返して応える。

「さー、ディフェンス!」

キャプテンの声がコートにこだまし、悠太もマークマンを確認すると、腰を下ろして両手を上げた。





「おお、男子、盛り上がってんね」

一緒に練習試合に来ている女子部員の2年生は、スコアやタイマーを担当するオフィシャル席から試合を眺めていた。

「佐野・・・11番、2点、と」

スコアブックを付ける友人の手元に少しだけ気を取られた日野 紗耶香は、ハッとして試合に注意を戻した。
紗耶香が任されているタイマーはそれほど難しい仕事ではないが、練習試合とは言えオフィシャル席に座っている以上は、一瞬たりとも試合から目を離してはいけない―――とは、紗耶香の考え方。


「すごいね、2年で1人だけスタメン」

試合を見つめたまま、紗耶香は小さくそう呟いた。



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