LOVE or DIE *恋愛短編集*
「驚いた。輔兄ちゃん、泥棒じゃん」

「まあ、店からしたらね」

佳織は苦笑しながら答える。

「自分でも言ってた通り、そんなに悪いことしてるって意識なかったみたいよ。・・・うちのお兄ちゃんもだけどね」

佳織の話によると、祐輔や彼女の兄がこの店で悪事を働いたのは、彼らが悠太と同じくらいの年齢から高校の始めにかけてだったようだ。
祐輔が暴れていた時期と重なる。
高校生活も後半に入ると、彼は嘘のように大人しくなったそうだから。
フットサルを始めてから更生したみたいだと、彩萌が言っていた。

「お兄さんもフットサルを?」

「うちの?ううん、お兄ちゃんはバスケだよ」

驚いた。
兄がいることすら知らなかったが、まさか自分と同じバスケをしているとは。

「バスケットマンがタバコとか、想像つかねえや」

悠太が頭を掻きながらそう言うと、佳織はぷっとふき出した。

「悠太くんみたく本気でやってないのよ多分。祐輔さんがフットサル初めて丸くならなかったら、お兄ちゃん今頃チンピラにでもなってたんじゃないかな」

「ゲッ」

佳織の兄がチンピラなんて、想像するのも嫌だった。
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