LOVE or DIE *恋愛短編集*
ゴールを目前に、悠太の選択はパス。

スリーポイントラインの外でフリーになった、最も信頼のおける西中1の外角シューター。

「スリー!!」

ベンチが立ち上がる。

彼のシュートは、完璧な軌道でリングへ吸い込まれた。


100-91
西中9点リード、残り時間1分30秒。


「当たれ」

監督の静かな指示は、しかししっかりとコートに届いた。

西中メンバーはスローインの段階から厳しく敵をマーク。
ボールは中々コート内に渡らない。

「5秒!」

5秒以内にスローインがなされなければ、西中ボールになる。

だが、

「いや」

ボールはぎりぎりで中の選手に渡った。

先ほどあっさりとボールを奪われたその相手に対するマークはポイントガード。

「やられたらやり返す」

彼は小さくそう宣言した。
誰にも聞こえない、静かな怒り。

容易くドリブルをさせない絶妙な距離で身体を張る。
残りの全員が各自のマークマンをしっかり抑えているので、パスコースはない。
敵が舌打ちしながら苦し紛れに放ったパスは、キャプテンがカット。

「よしっ!!」
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