LOVE or DIE *恋愛短編集*
コート内の10人全員がフロントコートに集まっている。
攻め込むスペースがなく、ボールを持ったキャプテンは一瞬攻めあぐねる。


「いい、時間使え!!」

西中のリードは9点、残り時間は短い。
点差を稼ぐより、このままキープ。
それが監督の判断。


敵はボールを奪おうと必死で当たってくる。
だが、勢いよく近寄ればその分隙も出来る。

右に重心を寄せる、その小さな動きにマークが反応。
その瞬間を左へ抜き去る。

すぐに別のディフェンスがカバーに来る。

そうなると―――

「中!!」

一瞬フリーになったのはゴール下の要である部長。

「シュート!!」
「部長!!」

「まだだ」

ベンチの喧騒を監督の低い声が遮る。

その声が聞こえたかのように、ボールは外へ。

「まわせ」

外角のシューターへ渡ったパスは、すぐさま悠太へ、悠太もそのボールをワンタッチでポイントガードへ回す。

ハイポストにポジションを取ったキャプテンがボールを要求。

外から中へ再びボールが入る。
背中にマークを背負い、左横目にゴールまでのルートを確認するキャプテン。

だが、そこに道はない。
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