LOVE or DIE *恋愛短編集*
部活の後の居残り練習は、役割ごとに内容を分けて全員で行っていた。
その様子に気付いた3年生に「お前ら、何か企んでるだろ」と突っ込まれた時は、わざと嫌味っぽく「先輩たちが引退したら、すぐに2年主体の新人戦ですからね」と返してごまかした。
特にファールの練習なんかしてるとバレたら大事なので、はた目にはオフェンス側のスリーポイントの練習に見えるように気遣っていた。
交代要員には走力がついたし、個々のシュート率も上がった。
コンビプレーもいくつか形になってきている。


「最後のチャンス、必ずものにしような」


陽が傾き、西日が差している。
その光に目を細める悠太の横顔は紅く輝いていた。


「おおおおーーーっ!!なんか青春っぺぇ!!」

雅樹が茶化す。
だがそれも照れ隠しに感じられる。

3人は、声をあげて笑った。


「勝とうぜ」

「おう」

改めて誓いを立てるため、その場に立ち止まって全員で拳を合わせた。


目的地のコンビニまで、あと300メートル。
この瞬間だけは、悠太は彼女のことを忘れていた。
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