LOVE or DIE *恋愛短編集*
ずっと気付かないフリを続けてきた、その気持ちを

今日、確かめに来た。



桐谷は、来ないかもしれない。

だけどもし、来たら――



「メリークリスマス、佐久間」


「は? まだだろ」


「だって明日も明後日も仕事だもん」


「……俺も、ですけど」


「だから」



その先を、桐谷は言わなかった。

言わなかったけど、俺には分かった。



長い時を経て想いが通じた、この人と

初めてのクリスマスは、

前倒しで今夜。



「……プレゼントとか、ないんだけど」


「お互い様だし」



『いいよ』

と、彼女の思いが流れ込んでくる。



『だってもう、最高のプレゼント、もらったから』



周りは好き勝手に盛り上がって、チューしろチューしろと騒ぎ立てていた。


衝立代わりに座布団で顔を隠して


6年越しのファーストキスの
やり直し……



「ってえっ!! 何すんだお前!」


「阿呆か! こんなとこでッ!!」



……ならず。



殴られたデコは痛いけど、

――最高の夜。








fin.



☆ ☆ Merry Christmas ☆ ☆




(執筆2013/12/23)
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