LOVE or DIE ＊恋愛短編集＊
雅樹のスリーポイントで、２年生チームは波に乗った。

悠太のワンマン速攻がなくなったためにハーフコートのセットオフェンスが増えた２年生チームは、次の作戦に出る。
２年生の中で一番の長身である純也が―――

「純也が、外？」

その動きに、３年生ベンチはざわつく。
彼は本来のゴール下のポジションから離れ、コーナーに立った。

この位置からの攻撃スキルが純也にあるわけではない。
これは純也自らが言い出した作戦―――つまりはゴール下の最大の壁である、部長を外へ追いやる目的だ。

インサイドのスペースが広がる、そこへの攻撃はもちろん、悠太がしかける１対１。

だが悠太のマークについているポイントガードは、簡単には抜かせてくれない。
そこへすっと雅樹が近づく。

「スクリーン！」

雅樹のディフェンスが声をあげる。
その声に反応したポイントガードの先輩は、雅樹が身体を張った壁をうまくすり抜ける。

悠太はその動きを逆手にとり、一直線に並んだディフェンスと雅樹の横を素早いドリブルで抜き去った。

「スイッチ！」

ポイントガードが怒鳴り、悠太へのフォローを指示する。
ディフェンスが入れ替わり雅樹をマークしていた３年生が悠太につこうとした瞬間に―――

悠太から雅樹へボールが渡る。

「打て」
< 223 / 301 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop