LOVE or DIE *恋愛短編集*
「で、どの辺が空いてるって?」

「この屋台の群れからもう少し川上にいくらしいぞ」

もうすぐ、彼女に会えるかもしれない。
どうしたって浮かれてしまうが、それも祭りの雰囲気にごまかされ、今のところなんとか突っ込まれずに済んでいる。

「つーかソレ誰情報?」

「・・・忘れたっ!クラスの女子だったかな」

雅樹の問いは適当に流した。
多分、聞いた本人も大して興味はないだろう。

「なんだよ、クラスの女子と花火の話してたんなら誘えよ」

・・・案の定、すでに話が違う方向に向かってる。

「あれ」

純也の不意のその声に、悠太はビクリと反応した。
前方に、浴衣の女子の集団が見える。


―――佳織さん?


一瞬、そう思った。
佳織の姿は、一番に自分が発見したかったのに。

だが、そこにいたのは佳織ではなかった。

「あーっ!男バス!」

こちらを指さして声をあげた彼女たちは、女子バスケ部の面々だった。
< 231 / 301 >

この作品をシェア

pagetop