LOVE or DIE *恋愛短編集*
「おー、お前らも来てたの」

「あ!から揚げちゃん~!ちょうだいちょうだいっ」

純也と雅樹が迷わずその集団に近づく。

「お前、から揚げはコンビニが一番じゃなかったのか」

「目の前にあったら食べたくなるのが人間ってもんだっ!」

雅樹がから揚げを持つ女子の反応も待たずに、ひとつつまみあげてほうばる。

「ちょっとアンタ、何してくれちゃってんのっ!?」

女子もやはり、祭りの雰囲気でテンションが上がっているようだ。
そのやり取りに、馬鹿がつくほどの大笑いが起こった。

その中に、1人だけ、この場に似つかわしくない真剣な顔をした女子がいた。


―――日野?


日野 紗耶香は、どこか不安げな、いや、心配そうな顔をしてこちらを見ていた。
真っ直ぐに、悠太の方を。

視線が絡んでも、数秒、彼女は微動だにしない。
先日のように顔を背けることはなかった。


―――何?俺に何か―――


尋ねようと思った。
だがその質問は、花火会場のカウントダウンのアナウンスによって遮られる。
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