LOVE or DIE *恋愛短編集*
――――
―――
関東大会までは、バスケに集中しよう。

花火の夜から心に波紋のように広がる不安感を押しのけ、悠太はそう決めた。

走り込みのコースを変更し、いつもより距離を伸ばした。
佳織とコンビニで話し込んでいた30分の時間を、そのままランニングにあてた。


例のミニゲームを通して3年を怒らせたかと懸念していたが、思いのほか先輩たちは寛大で、『逆に自分たちの穴が分かって良かった』と悠太たちの作戦を誉めて礼を言ってきた。

外角シューターは無理にシュートチェックに来るディフェンスのかわし方とフリースローを練習する。
ポイントガードは執拗なマンツーマンマークにも対応できるようにフェイントの技術を高める。
高さ勝負の鍵となる部長とキャプテンはポジション取りの練習を重ね、取れないボールも味方がいるスペースに弾くことを覚えた。
2年の姑息とも言える作戦に苛立った選手たちは常に冷静でいることの大切さを学んだ。

1、2年はその練習に積極的に協力し、西中バスケ部の士気は高まっていった。
< 237 / 301 >

この作品をシェア

pagetop