LOVE or DIE *恋愛短編集*
バスケに集中しよう、そう決めた悠太は、かねてから感じていた『身体を動かしているときは余計なことを考えずに済む』状態に救われることになる。

事実彼は、関東大会が終わるまで、一度も結城 佳織のことを思い出さなかった。


悠太の心に、徐々に平穏が戻ってくる。


そう、春に戻っただけだ。
あの色つきの夢を見る前の、モノクロの世界に。



関東大会はたった3日間で行われる。
全20校の中から、上位4校が全国への切符を手にすることができる。
シード校であった西中は初日は試合がなく、2日目に2試合が予定されていた。
3日目に準決勝が2試合と、その試合の勝者同士で決勝が行われる。
つまり最終日まで残ったチームが、全国行きを約束されるわけだ。


1試合目を87-61で勝利した西中は、3回戦にあたる次の試合へと駒を進めた。

2試合目となってもメンバーに疲れが出ることはなく、心身ともに最善の状態でその試合を向かえたが―――

結果、西中は敗れた。
54-59という僅差で、西中としては珍しいロースコアの試合だった。
< 238 / 301 >

この作品をシェア

pagetop