LOVE or DIE *恋愛短編集*
これで、3年生は引退となる。
彼らは、1人残さず泣いていた。
人目をはばからず。

1、2年の間にもそれは伝染し、先輩が引退したって『淋しくなんかねえ』と豪語していた雅樹さえも号泣していた。



佐野 悠太は、涙を流さなかった。



無口な部長に代わり、副部長でもあるキャプテンが挨拶の言葉を述べる。
途中で嗚咽が混じり、何度も言葉に詰まりながら。


言いようのない喪失感に襲われながら、悠太は光を失った目でその姿を見つめた。

これだけの喪失感を感じていながら、涙が出ない自分は空っぽだ。
頭の片隅で、そう考えていた。


「―――いままでありがとう」

キャプテンが言葉をしめた。

最後に悠太に向き合い、「これからはお前が引っ張っていけ」と命じる。

悠太は、焦点の合わない瞳で彼の言葉を聞いていた。




―――理解は、出来なかった。
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