LOVE or DIE *恋愛短編集*
「お前と一緒にバスケが出来てよかった」

と、彼は言った。
涙はもう乾いている。
だが、目は真っ赤に腫れていた。

「俺はバスケの推薦で常磐学院に行く。お前も来いよ」

それは、また一緒にやろう、という誘いだった。

震えが、止まらなかった。
ここに来て初めて、悠太の頬を涙が伝う。


「待ってるから」

涙と震えで言葉が出ない悠太の頭にポンと手を乗せると、彼は去って行った。


明日になれば、3年生は、もう、いない―――。




30分も呆けている内に、西中の部員はいつの間にか周りから姿を消していた。

ようやく気が付いた悠太は、重い足取りを会場の出口へ向ける。

出口脇のベンチに、純也と雅樹が座って彼を待ってくれていた。

悠太の赤くなった目には触れず、彼らは無言で歩き出した。
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