LOVE or DIE *恋愛短編集*
気を取り直して、息子の話に戻す。
「5月くらいだったと思うんだけどね、いつもより遅くに―――あ、あいつ毎日夜走ってるんだけどさ」
そこで一旦言葉を切ると、彩萌は「ああ」と視線を上にして相槌を打つ。
悠太が毎日走っていることは、どうやら知っているようだ。
「その日は部活から帰ってくるなり部屋に閉じこもったから、今日は行かないのかなって思ってたんだよ。あれ、変だなって。そしたら、いつもより遅くに走りに出ていって、いつもより長い時間戻ってこなかったんだ」
彩萌は不思議そうな顔をしている。
これだけじゃ、何が【変】なのか分からないだろう。
「次の日から、ランニングが1時間から1時間半に変わったんだ。おまけに、それまでは手ぶらで出てたのに、タオルを持ち歩くようになって」
「―――引退戦が近づいて、トレーニング量を増やしただけじゃないんですか?」
と彩萌に言われて、首を横に振った。
「最初はそう思ってたんだけどね、飯の量は変わらないんだよ。走る量が増えたら、食べる量も変わりそうなものなのに」
本当は、ランニングに行くフリをして隠れて夜遊びでもしてるんじゃないか、とも疑ったことがある。
だがその考えはさすがに彩萌にも笑われ、悠太に限ってそれはないか、と自分でも否定できた。
「5月くらいだったと思うんだけどね、いつもより遅くに―――あ、あいつ毎日夜走ってるんだけどさ」
そこで一旦言葉を切ると、彩萌は「ああ」と視線を上にして相槌を打つ。
悠太が毎日走っていることは、どうやら知っているようだ。
「その日は部活から帰ってくるなり部屋に閉じこもったから、今日は行かないのかなって思ってたんだよ。あれ、変だなって。そしたら、いつもより遅くに走りに出ていって、いつもより長い時間戻ってこなかったんだ」
彩萌は不思議そうな顔をしている。
これだけじゃ、何が【変】なのか分からないだろう。
「次の日から、ランニングが1時間から1時間半に変わったんだ。おまけに、それまでは手ぶらで出てたのに、タオルを持ち歩くようになって」
「―――引退戦が近づいて、トレーニング量を増やしただけじゃないんですか?」
と彩萌に言われて、首を横に振った。
「最初はそう思ってたんだけどね、飯の量は変わらないんだよ。走る量が増えたら、食べる量も変わりそうなものなのに」
本当は、ランニングに行くフリをして隠れて夜遊びでもしてるんじゃないか、とも疑ったことがある。
だがその考えはさすがに彩萌にも笑われ、悠太に限ってそれはないか、と自分でも否定できた。