LOVE or DIE *恋愛短編集*
彼女はその後も、取り留めもなく話題をコロコロと変えた。

10分ばかり悠太の隣でまるでひとり言のように話し続けたあと、前触れもなくおもむろに立ち上がり、「じゃあ、おやすみなさい」と言って彼女は去って行った。



彼女が残した不思議な余韻を拭い去るように、やわらかい風が公園を吹き抜けていった。



1人公園に残されて、今のはなんだったんだろう、と悠太は考え込んだ。

なんの脈絡もなくころころと変わる話題―――それでも、彼女が言いたかったのは・・・。





『言わなきゃ、伝わらないよね』





紗耶香のその言葉だけが、しつこく悠太の頭の中に響いた。

もう一度空を見上げる。
それから、公園の出口へ視線を向ける。

佳織がいるはずのコンビニの看板がここからでも見えることに、悠太は初めて気が付いた。
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