LOVE or DIE *恋愛短編集*
―――一瞬息を飲んだ佳織は、悠太の目をしっかりと見つめ、誠実に返事をくれた。




自分には、好きな人がいること。

彼は自分を好きだと言ってくれていること。

来年から地方の専門学校へ通うことが決まっていること。

遠距離恋愛になるのが怖くて、彼に自分の思いを伝えられずにいること。



最後の方で、彼女は少しだけ涙を浮かべた。


はじめから自分は恋愛の対象ではなかったのだと知らされて、それでも悠太は、思いを告げたことを後悔はしていなかった。

むしろ、ここ最近で一番心が穏やかに静まっているのを、どこか客観的な気持ちで感じ取っていた。


「佳織さん」

もう一度、彼女の名前を呼んだ。
これで最後になるかもしれない、そう思いながら。

「思いは、言わなければ、伝わらないですよ」

ついに零れ落ちた彼女の涙を、悠太は手を差し出して親指ですくった。


「頑張って」


そう言って、コンビニを後にした。
最後にまた場にそぐわない『ピロピロン』という音が響いて、こういうときくらい遠慮してくれればいいのに、と思いながら。
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