LOVE or DIE *恋愛短編集*
午後からのシフトの子たちが出てきて、漸く少し遅めのお昼休みに入る。
バックヤードでひと息ついていると、珍しく店長と一緒になった。


「はいコレ、おごり」

「またバーガーですかぁ? もううんざり……」

言いながら彼の手元を見れば、そこにあるのはいつもの食べ飽きたバーガーではないけど。

「……それかぁ」

忌々しきミニチョコサンデーの姿に、溜まらず大きなため息が漏れる。

けど、ちゃっかり自分の分もこしらえてきている店長には思わず笑った。


「何だよ、人がせっかく」

「ソーデスネー。一緒にチョコレート会社の陰謀に騙されましょう」

「棒読みだな。ちょっとはありがたがれ」

拗ねる店長はなかなか可愛い。
そして意外なことに甘党と来たもんだ。


「ありがたいですよー。店内ちょっと暑くて乾燥してたし、アイス嬉しい。いただきます」

そう言ってサンデーを受け取ると、店長は「後で空調調整しとくか」とかなんとかぶつぶつ言っている。
こういうとこ、基本、真面目な人なんだと思う。


「高岡はさー」

2人して黙々とサンデーをつついていると、突然店長が話しかけてきた。

「はい? なんですかー」

「今日、1日ここにいていいの?」

「……一体誰でしょうね? 強制的にフルでシフト入れたのは」

あんたでしょうが、彼カノがいるバイトたちが皆今日休めるようにって気を遣ったのは。
こっちはそのしわ寄せ食らってるんだっての。

「いや、まあ、そうなんだけど……。悪いな」

と、やけに歯切れが悪い。
理由は直後に分かった。


「大晦日の時に来てた『しんちゃん』とは、その後進展ないわけ?」
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