LOVE or DIE *恋愛短編集*
『しんちゃん』――進藤くん。
高校時代の友人との集まりで偶然一緒になって、紹介されて。
その時落としたコンタクトを拾ってもらったり、偶然このバイト先に現れて再会したりで、ちょっとだけ運命感じてた。
しかも『しんちゃん』……子どもの頃に助けてくれた、思い出の彼と同じ愛称。
もしかして、まさか彼があの時の、と湧いてくる期待が、周りの友達に常々馬鹿にされてからかわれている『しんちゃんの呪縛』の正体だとは漸く自覚した。
私はどうやらあの時の『しんちゃん』に、今でも恋をしているらしい。
でも、何度か進藤くんと2人で会っている内に気が付いた。
彼はやっぱり、あの『しんちゃん』ではない。
「……ってか、なんで店長が彼の名前知ってるんですか」
「や、それは他のバイトが。思い出の彼と再会出来たとかなんとか」
く……っ、密告者は誰だ。
上手くノせられて調子に乗ってペラペラしゃべるんじゃなかった!
「それが、違ったんですよ。思い出の彼とは別人でした。世の中、そんな奇跡みたいな偶然ないですよねー」
既に事情がバレてしまっているのなら誤魔化してもしょうがない。
照れ隠しに全く気にもしていない風を装ったけど、進藤くんが『しんちゃん』じゃないと分かった時には結構堪えた。
それ以来何となく会う機会が減って、今では2人きりになることはまずない。
反応がないので不思議に思って顔を上げると、店長は何とも言えない微妙な顔をしていた。
「あのさ……思い出の彼と別人だったから、別れたの?」
「え、そーいうわけでは……というか、別に私たち、付き合ってたわけじゃありません」
何となく責められているような気がして否定したら、店長は今度は「あの時手ぇ繋いでたクセに」とぶつぶつ言い出した。
手を繋いだイコール付き合ってるって、どんだけ!
高校時代の友人との集まりで偶然一緒になって、紹介されて。
その時落としたコンタクトを拾ってもらったり、偶然このバイト先に現れて再会したりで、ちょっとだけ運命感じてた。
しかも『しんちゃん』……子どもの頃に助けてくれた、思い出の彼と同じ愛称。
もしかして、まさか彼があの時の、と湧いてくる期待が、周りの友達に常々馬鹿にされてからかわれている『しんちゃんの呪縛』の正体だとは漸く自覚した。
私はどうやらあの時の『しんちゃん』に、今でも恋をしているらしい。
でも、何度か進藤くんと2人で会っている内に気が付いた。
彼はやっぱり、あの『しんちゃん』ではない。
「……ってか、なんで店長が彼の名前知ってるんですか」
「や、それは他のバイトが。思い出の彼と再会出来たとかなんとか」
く……っ、密告者は誰だ。
上手くノせられて調子に乗ってペラペラしゃべるんじゃなかった!
「それが、違ったんですよ。思い出の彼とは別人でした。世の中、そんな奇跡みたいな偶然ないですよねー」
既に事情がバレてしまっているのなら誤魔化してもしょうがない。
照れ隠しに全く気にもしていない風を装ったけど、進藤くんが『しんちゃん』じゃないと分かった時には結構堪えた。
それ以来何となく会う機会が減って、今では2人きりになることはまずない。
反応がないので不思議に思って顔を上げると、店長は何とも言えない微妙な顔をしていた。
「あのさ……思い出の彼と別人だったから、別れたの?」
「え、そーいうわけでは……というか、別に私たち、付き合ってたわけじゃありません」
何となく責められているような気がして否定したら、店長は今度は「あの時手ぇ繋いでたクセに」とぶつぶつ言い出した。
手を繋いだイコール付き合ってるって、どんだけ!