LOVE or DIE *恋愛短編集*
「店長、そんな古くさいことばっか言ってるからいい歳して彼女出来ないんですよー。人の世話ばっか焼いてないで、ちょっとは自分の心配したらどうですかぁ?」


手くらい繋げる女の子はいないのか、と顔を覗きこむと、彼はパッと顔を背けた。
耳が若干赤くなっているとこを見ると、どうやら照れているらしい。
どんだけシャイなんだ!


「一体店長おいくつなんですか。このまま一生独身で通すつもりじゃないですよね? そんなんじゃ……」

「ちょ、ちょっと待て。高岡、俺のこと凄いオッサンと思ってない? 3つしか変わらんのだけど! 全然結婚とか急かされる歳じゃないから!」


……絶句。
絶対、20代後半だと思ってた!

改めてまじまじと目の前の人を観察する。

冴えない黒縁眼鏡の、パッと見は地味な男だ。
考え方は古くさくて真面目。
頼りないしバイトからもどこか馬鹿にされてはいるけど、でもその分親しみやすくはある。
そして意外と周りを見て色々と気を遣っている、世話焼きの優しい人だ。

その、身体から滲み出るような落ち着き方といい……見た目の地味さも手伝って、絶対もっとオッサンだと思ってました……!


「無言って……図星かよ。傷付くわー」

「はっ! す、すみません。いやいや、そうですよねっ、いい歳したオッサンだったら、そんな美味しそうにチョコサンデー食べないですよねっ!」

「それ、全然フォローになってない……」

店長はまた大袈裟なジェスチャーで、今度は頭を抱え込んだ。
なるほどこういう姿は、年相応なのかもしれない。
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