LOVE or DIE *恋愛短編集*
「みのりと別れた……? 嘘でしょ」

「ほんと」


項垂れる亮は、始まったばかりの新生活への希望に目を輝かせる周囲の中で、いやに浮いていた。


まさか、と思う。

だってみのりがどれだけこの人を好きだったのか、私はよく知っている。
それなのに亮がこの落ち込み様ってことは、みのりの方が振ったとでも言うのか。

まさか、あり得ない。


「何でよ……浮気でもした?」

「俺、そーゆー風に見える?」


質問に質問が返ってきて、眉をひそめた。


「疑いかけられてそのまま大人しく振られたわけじゃないわよね」

「違う。つーか……俺が言ったの、別れようって」

「はあ!?」


振られたのではない。
そこは納得がいった。
みのりが彼を振るわけがない。

けれど、その後が腑に落ちない。


「つまり亮が振ったってことじゃない。じゃあなんで、そんなに凹んでるのよ」

「俺が振った? ――違う。振られたんだよ、俺」
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