LOVE or DIE *恋愛短編集*
佐伯みのりと仲良くなったのは、高校1年の終わりくらいだったと思う。
クラスは違ったのに、彼女の方から声をかけてくれるようになった。


2年生に上がっても彼女とはクラスが別のままだったけど、新しい教室には彼がいた。
私は一番廊下側の席で、彼は一番窓側の席だった。


みのりはよく休み時間に、廊下側の窓から顔を見せた。
窓を挟んで廊下にみのり、内側に私。


彼は大抵、その直線上にいた。


1年の時、クラスが違った頃には遠目で曖昧だった視線は、2年で同じクラスになってから少し分かりやすくなった――気がしていた。


けど。


違うクラスでも、みのりは声をかけてくれるのに。
同じ教室にいても、彼は声をかけてくれない。


みのりは教室には入って来ない。
私とみのりの間には壁があり、窓が繋ぐだけ。
でも彼女は、窓越しでも、内緒話が出来る距離にいた。


教室の端と端は遠い。
間に壁がなくても、遠い。
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