LOVE or DIE *恋愛短編集*
「あそこで降ろして」
車を降りたら、終わってしまう。
本当はまだ、一緒にいたかった。
1分でも、1秒でも長く。
道路沿いに見えてきたコンビニの看板を指して「降ろして」と言った私を男は横目でちらりと見て、無言で減速する。
何も言えないのは後ろめたさなのか、それとも。
車が駐車場に滑り込むと同時に、シートベルトを外した。
もう二度と座らないだろう馴染んだシートに、気付かれないようにひと撫でして別れを告げる。
白線内にきちんと停めようとする男を制して、「ここでいい」と一言放った。
彼は驚いたように顔を上げた。
車の動きが停止したその隙に、私はドアを開けて外へと降り立つ。
「じゃあね。歩いて帰れるから」
“今までありがとう”
“お幸せに”
“さよなら”
“愛してた”
何を言っても、感傷に浸るだけで何も生まれない。
それなら何も、言わない方がいい。
傷付いていることなど、私が本気だったことなど、今さら知って欲しくない。
何か言いかけた彼の言葉を待たずに、助手席のドアを閉めた。
空間が遮断される――これで、終わりだ。
車を降りたら、終わってしまう。
本当はまだ、一緒にいたかった。
1分でも、1秒でも長く。
道路沿いに見えてきたコンビニの看板を指して「降ろして」と言った私を男は横目でちらりと見て、無言で減速する。
何も言えないのは後ろめたさなのか、それとも。
車が駐車場に滑り込むと同時に、シートベルトを外した。
もう二度と座らないだろう馴染んだシートに、気付かれないようにひと撫でして別れを告げる。
白線内にきちんと停めようとする男を制して、「ここでいい」と一言放った。
彼は驚いたように顔を上げた。
車の動きが停止したその隙に、私はドアを開けて外へと降り立つ。
「じゃあね。歩いて帰れるから」
“今までありがとう”
“お幸せに”
“さよなら”
“愛してた”
何を言っても、感傷に浸るだけで何も生まれない。
それなら何も、言わない方がいい。
傷付いていることなど、私が本気だったことなど、今さら知って欲しくない。
何か言いかけた彼の言葉を待たずに、助手席のドアを閉めた。
空間が遮断される――これで、終わりだ。