LOVE or DIE *恋愛短編集*


 ◆ 


「長年の想いが叶って良かったね、先生」


「え……な、長年って!?」



俺が中1の時に23で着任したとして、この人はもう30を超えているはずなのに。

慌てふためく先生は、年取ってもやっぱり可愛い。

初恋の相手に対する、色眼鏡なんだろうか。



「バレてないと思ってた? 先生、あの頃から菅井先生一筋だったよね」



菅井と麻里子は同時期の着任だった。


爽やかな外見で生徒受けが良くて、内実は暑苦しい熱血漢だった菅井が、

公私ともに彼女の支えになっていたのは想像に難くない。



会話に聞き耳を立てていた周囲が、ヒュー! と騒ぎ出す。


麻里子は困ったような照れたような、

……やっぱり可愛らしい顔で。


真っ赤になって、両手を顔の前で振って否定しようとする。



「そんな、隠さなくても。てか、顔でバレバレだから」



もうっ! と頬を膨らませる彼女が、



あの頃と、リンクする。

< 6 / 301 >

この作品をシェア

pagetop