LOVE or DIE *恋愛短編集*



カニが大量に蠢く道、なんて、確かに気色悪い。
運悪く轢いてしまったのも、寝坊した彼の自業自得だし運が悪かったのは蟹の方と言えなくもないけども、まあ同情する。

でもなんだ、呪いって。
子供か!

しかも。
洗濯機が壊れて脱水できなくなったとか?
炊飯器に米だけかけてスイッチ入れ忘れたとか?
冷凍食品チンしたの忘れてて2日後に見つけたら腐ってたとか?
目覚ましの電池が切れて時計が止まってたとか?

なんでもかんでも蟹のせいにして、ここの小川も川ってだけで本気でびびって避けちゃったりして、置いて行かれるのが怖いのか血相を変えて着いて来る彼って。

……可愛いなぁ、もう。
馬鹿なんだから。

立ち止まり振り向くと、追いついた彼の腕に絡みつく。

「ね、じゃ、呪いを解くために蟹供養しようか」

笑いかけると、余程蟹に脅えていたのか、ぱあっと明るくなっていく彼の顔。
どんだけ?

「供養って、一体……」

「大丈夫、任せて!」
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