LOVE or DIE *恋愛短編集*
「私も見てみたいなぁ、蟹ロード」

「だから、見て気持ちイイもんじゃねえって」

「でも」

「いつでも見れるわけじゃねぇし」

結局ぺろりと全ての蟹料理を完食した彼と、お茶をいただきながら会話を交わすのんびりとした時間。

ねえ、いつでも見れるものじゃないこと、分かっているから言ってるんだよ?
そういうの、あなたはやっぱり、はっきり口にしないと分かってくれない?

「呪われるかも」

「供養すれば大丈夫だってば」

「結局洗濯機直ってないし」

「それ絶対蟹のせいじゃないって」

ふふ、と笑い合って、お茶を口にしたのが同時だった。
不意に訪れた、沈黙。

見たいなぁ、蟹ロード。
見たいなぁ、あなたの世界。

気付かないかなぁ。

「……そんなに、見たい?」

あ、届いた?心の声。

「向こう、に」

――うん。

「住んだら、その内、見れる、かも」

なんでカタコト!

「それって」

「だから、まあ」

ぽり、と、彼が目線を斜めに逸らしたまま、頭を掻いた。
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