LOVE or DIE *恋愛短編集*
「料理も洗濯も目覚ましも、蟹の呪い全部」

……はぁ?
何か、期待した方向からずれてない?

「お前が来てくれたら、解けるかも」

「家政婦かっ!」

思わずそう突っ込むと、彼の顔が楽しそうにくしゃっと崩れた。

「悪い、ちゃんと言うわ」

と、姿勢を正す彼に、抑えきれない気持ちが昂る。

「一緒に来て。――結婚しよう」

言葉を頭の中で消化しきる前に、涙が、落ちた。
いつの間にか隣に移動した彼が、くいっと抱き寄せてその涙を拭う。

「返事」

「……はい」

よろしい、と、大きな手で私の頭を撫でた彼が小さな声で「供養の効果てきめん」と呟いて、私は彼とおでこをくっつけて笑った。

蟹の神様、ありがとねっ!





「そうと決まれば」

「え?」

「一刻も早くアパートに戻ろうぜ」

「何で……」

「だって俺、まだデザート食べたりないし」

「……ばかっ!」




丸太を踏み外しても、蟹を轢き殺しても。
これからはずっと一緒に、支えあって歩んでいこうね、ダーリン!




*fin*


(執筆2013/08/29)
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