LOVE or DIE *恋愛短編集*
「あ。……やだな」
キーボードを叩く音と、ゆったりとした優しいダンスナンバーだけが静かに流れていたその部屋に、不意に3つめの音が――、否、声があがった。
途端、その主が立ち上がってごそごそと動き出し、部屋に響く雑音が一気に増えた。
モニターの前に彼女が戻ってきた時に、私は漸く知る。
零れそうになった涙を拭くために彼女が動いたのだということを。
こうやって、誰にも涙を見せずに彼女はいつも泣く。
そして、決して泣き続けない。
立ち止まらずに、歩き続ける。
例え進むべき道が分からずとも、やみくもに、がむしゃらに、ただ進み続ける。
キーボードが、再びカタカタと鳴りだした。
――――――――――――
と、いう訳で。
あたし、また淋しんぼに戻っちゃいました。
空っぽです。
誰か、この隙間を埋めてくれないかな。
――――――――――――
本当は空っぽのまま、悲しみに浸って泣いていたいのではないか。
それくらい彼女は、『彼』のことを深く愛していたのだから。
ただその想いを綴る文章はあまりにも拙くて、恐らくは読む者の心にそう強く響かない。
強がって最後に付け足した文章に、きっとまた誰かが食いつく。
そうやって、新たな出会いは簡単に訪れる。
いとも簡単に。
そして、だから、失うときはいつも『簡単になかったことに』なのだ。
キーボードを叩く音と、ゆったりとした優しいダンスナンバーだけが静かに流れていたその部屋に、不意に3つめの音が――、否、声があがった。
途端、その主が立ち上がってごそごそと動き出し、部屋に響く雑音が一気に増えた。
モニターの前に彼女が戻ってきた時に、私は漸く知る。
零れそうになった涙を拭くために彼女が動いたのだということを。
こうやって、誰にも涙を見せずに彼女はいつも泣く。
そして、決して泣き続けない。
立ち止まらずに、歩き続ける。
例え進むべき道が分からずとも、やみくもに、がむしゃらに、ただ進み続ける。
キーボードが、再びカタカタと鳴りだした。
――――――――――――
と、いう訳で。
あたし、また淋しんぼに戻っちゃいました。
空っぽです。
誰か、この隙間を埋めてくれないかな。
――――――――――――
本当は空っぽのまま、悲しみに浸って泣いていたいのではないか。
それくらい彼女は、『彼』のことを深く愛していたのだから。
ただその想いを綴る文章はあまりにも拙くて、恐らくは読む者の心にそう強く響かない。
強がって最後に付け足した文章に、きっとまた誰かが食いつく。
そうやって、新たな出会いは簡単に訪れる。
いとも簡単に。
そして、だから、失うときはいつも『簡単になかったことに』なのだ。