LOVE or DIE *恋愛短編集*
ごく当たり前に、その願いは叶わなくて。


16時50分、


「タイムリミットだよ、佐久間くん」


先生は眉を下げてそう言った。



正直、ここで嬉しそうに言われたら暴挙に出てしまったかもしれない。


俺が納得いくまで――正確には、俺が納得したフリをするまで――指導を続けられなかったことを

先生が心底悔しく思っているのが、伝わってこなかったら。



だけど、理解出来てしまったから。

帰り支度を促す彼女に、従わざるを得なかった。



隣の教室からガタガタと似たような音、会話が漏れ聞こえたのはほぼ同時。



「もう暗いから、気を付けて」


そう、教室から送り出されて


「佐久間か、ちょうどいい。送ってやってくれないか」


ちょうど隣から出てきた菅井が、女子生徒の背中を押した。



恨みがましい視線を菅井に送ったその女子生徒の気持ちを



俺は、痛いほどよく知っている。
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