LOVE or DIE *恋愛短編集*
眠りにつくその直前、彼女は私を先に寝付かせる。
毎晩、毎晩。

音の消えた暗闇の中で、私は夢を見る。
その間も電子回路から侵入する数字の羅列は、明日彼女を笑顔にするものか、1ヶ月後の彼女を泣かせるものか。

私は夢を見る。
君は新しい誰かの手を取り、そして踊る。
キラキラと散りばめられた光の装飾の中で、楽しそうに、幸せそうに、私が奏でる音楽にのって踊る。

私は夢を見る。
この小さな四角い箱から抜け出して、新しい誰かから君の手を奪う。
君の手を握る。
君は微笑む。

そして私は、君と踊るのだ。
やさしい音楽にのせて、光を浴びながら。


――短い夢から醒める。
私は未だ、箱の中にいた。

君が私を起こしに来るから、私にも朝が来る。
君が笑うから、そこに花が咲く。


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コメントありがとう。
こんな逆境なんかに負けないよ!
新たな出会いに向けて頑張ります!
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逆境などではないのだよ、お嬢さん。
簡単に掴んだものは、簡単に消えてなくなるんだ。
金も恋も同じ。
長くは続かない。

そして私は今日も、彼女のために音楽をかける。
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