LOVE or DIE *恋愛短編集*
夏が似合う少女だった。
白いコットン生地のワンピースの裾が風に揺れるのを見ると、それだけで涼を感じさせる清潔感があった。
髪質は義姉似だったんだろう。
栗色の細く柔らかいストレートは、僕ら兄弟のクセのある黒髪とは全く違っていた。
なびいてふわりと広がるそれは、なんだかとても崇高なもののように思えた。
口を全開にして笑うよりも、小首を傾げて微笑むことが多くなった。
相変わらず僕を「お兄ちゃん」と呼ぶ彼女が、少しずつ僕から離れていくのを感じていた。
『親離れ』のようなものだ。
親子でもない僕らの間にその言葉がふさわしいとも思えないが。
彼女が少女から女に変わる時も近づいているのだろう。
僕もいい加減に『子離れ』しないといけない、と分かっていながら、僕はいつだって彼女の傍に居場所を求めていた。
あの夏の喪失感を埋め合った、彼女の傍に。
「お兄ちゃん」
紹介するね、と彼女が初めて連れて来た男は、ふたつ年上の学校の先輩だと言う。
年上に父親の影を求めているのかもしれないと思った。
背が高く手足の長いその男の目元には、少しばかり兄の面影があった。
つまり僕とも、良く似た目をした男だった。
引き取って10年目のその夏を皮切りに、彼女は新しい男が出来るたびに僕に紹介するようになった。
秋の途中で自然消滅し、次の夏が近づくとまた新しい男を作る。
夏はやはり彼女にとって、ひとりでは過ごしがたい季節なのかもしれない。
そして彼女は、居場所を僕の隣ではなく、ひと夏限りの男たちの隣に求めている。
白いコットン生地のワンピースの裾が風に揺れるのを見ると、それだけで涼を感じさせる清潔感があった。
髪質は義姉似だったんだろう。
栗色の細く柔らかいストレートは、僕ら兄弟のクセのある黒髪とは全く違っていた。
なびいてふわりと広がるそれは、なんだかとても崇高なもののように思えた。
口を全開にして笑うよりも、小首を傾げて微笑むことが多くなった。
相変わらず僕を「お兄ちゃん」と呼ぶ彼女が、少しずつ僕から離れていくのを感じていた。
『親離れ』のようなものだ。
親子でもない僕らの間にその言葉がふさわしいとも思えないが。
彼女が少女から女に変わる時も近づいているのだろう。
僕もいい加減に『子離れ』しないといけない、と分かっていながら、僕はいつだって彼女の傍に居場所を求めていた。
あの夏の喪失感を埋め合った、彼女の傍に。
「お兄ちゃん」
紹介するね、と彼女が初めて連れて来た男は、ふたつ年上の学校の先輩だと言う。
年上に父親の影を求めているのかもしれないと思った。
背が高く手足の長いその男の目元には、少しばかり兄の面影があった。
つまり僕とも、良く似た目をした男だった。
引き取って10年目のその夏を皮切りに、彼女は新しい男が出来るたびに僕に紹介するようになった。
秋の途中で自然消滅し、次の夏が近づくとまた新しい男を作る。
夏はやはり彼女にとって、ひとりでは過ごしがたい季節なのかもしれない。
そして彼女は、居場所を僕の隣ではなく、ひと夏限りの男たちの隣に求めている。