最初で最後の恋

ふるふると首を横に振る。


「ちゃんと話さないと分からないことだって、たくさんあるのよ?」


ちゃんと・・・・話さないと・・・・。


「颯人君ともう一度向き合って、しっかりと話をしなさい。いいわね?」


お母さんの言葉に頷く私。


「よし。それならいいわ」


そう言って、いつものように持ってきた果物を切り分けていく。


私は愛梨さんの言葉だけで


颯人のことを疑って。


信じることをやめてしまって。


別れをきりだしてしまって。


颯人の口からは何も聞いていないのに。


颯人本人からは何も言われてないのに。





そもそも、私は颯人になんの確認もしていない。




怖くて聞かないで。


後になって後悔して。



なにやっているんだろう、私。





明日颯人が来る。


ちゃんと話さないと。


そう決心した私の心に、迷いはなかった。








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