最初で最後の恋

私の言葉に、愛梨さんのこめかみがピクッと動いた。


「私のほうが颯人の事分かってるわ!あんたなんかよりもね!颯人は優しいから、あんたなんか二番目なんだって言えないだけよ!遊びなのよ!別れなさいよ!!!」


周りを気にせず、叫びまくる愛梨さん。


その姿は、憐れみを感じさせるものだった。


この人も颯人が好き。


だけど絶対に颯人は渡さない。


颯人は私の未来だから。


「愛梨さんの言葉なんて、信じない。ううん、信じられない。私は颯人だけを信じる」


強い眼差しで、愛梨さんを射抜くように見つめる。


「後悔する前に別れなさい!!」


往生際が悪い。


「なんなら颯人に直接聞く?」


私の言葉に、口を閉じる愛梨さん。


「だって、私たちがこうやって話していてもキリがないじゃない。それならいっそ、颯人にはっきり言ってもらおうよ」


私は颯人を信じている。


だからこそ言える言葉。


愛梨さんの体がわなわなと震える。


「颯人は・・・・関係ないわ・・・。これは私たちの問題よ!」


諦めようとしない愛梨さん。


「颯人だって十分関係者だよ。颯人の事で話してるんだから」



< 108 / 160 >

この作品をシェア

pagetop