最初で最後の恋

「う゛・・・・」


それから愛梨さんは何も言わなくなった。


いいえ、言えなくなった。


そこへグットタイミングなのか、バットタイミングなのか。


颯人が入ってくる。


ビクッと震える愛梨さんの体。


これは颯人が来るのを恐れている証拠。


「颯人ー」


「ん?」


カーテンを開けた颯人は、目を丸くした。


「誰、こいつ」


「は、やと・・・・」


颯人が来たことへの恐怖なのか。


はたまた、誰かも覚えてもらっていない悲しみなのか。


愛梨さんの声は震えていた。


「この前話したでしょ?愛梨さん」


「あー・・・・・」


そこでやっと思い出したみたい。


「なんでここにいんの?」


「そ・・・それは・・・」


「私に会いに来たんだよ」




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