最初で最後の恋
「ずっとアピールしてきたのに!お菓子だって作ったし、お弁当だって作った!颯人に見てほしくて必死に頑張ったのに!!!なのに!!!」
愛梨さん、がんばってる・・・・。
「颯人の後ろを歩いてたら、花屋に入るのが見えて。出てくるのを待ったの。出てきた颯人の顔は幸せそうだった!!微笑んでたのよ!!!私には一度も見せてくれなかった笑顔!!!」
それはきっと、パンジーを買っていたんだろうな。
けどその颯人の顔が微笑んでいたのを私は一度も見ていない。
「なんで私じゃダメなの!?ねぇ、なんでよ!!私のほうが、ずっと颯人の事好きなのに!愛してるのに!!!!」
「瑠璃が好きだから」
愛梨さんが言いきった後、静かにそう言った颯人。
「瑠璃の事を好きになったから。瑠璃が俺の全てになっていたから」
「颯人・・・・」
「お前はその前から俺の事好きだったんだろうけど、そんなの俺には分からなかった。瑠璃に出逢ってから俺は変わった気がする。瑠璃の事愛してる」
颯人の口から初めて聞く“愛してる”の五文字。
こんな形で聞くことになるなんて思ってなかったけど。
「そ、んなぁ・・・・・」
その場にへたり込む愛梨さん。
「愛梨さん。あなたは颯人の事が好きだったんだろうけど、好きな人が他の人と付き合ったからってこんなことしちゃ、ダメなんだよ」
「・・・・・・」
何も答えずに俯いたままの愛梨さん。
私はそのまま続ける。
「その人が本当に好きなら、そっと身を引くのが一番だと思うな。そんなすぐに想いは消えないだろうけど・・・・」