最初で最後の恋

「今日も颯人君来た~?」


いつもより少しテンション高めなお母さん。


「うん、来たよ。お母さん今日テンション高くない?どうしたの?」


「うふふ。それはね~」


焦らすようになかなか答えてくれない。


「早く~」


急かせば急かすほど、うふふと笑う。


「なんと!・・・・・・・実はなんにもないのよね」


「何よそれ~」


ぷっ、と笑う。


「お母さんはいつもこんな感じよ」


「そうだっけ?まあ、どんなテンションでもお母さんはお母さんだもんね」


「そうよ~」


ふふっ、と笑い合う。


「今日も颯人君。お花持ってきてくれたのね~」


「え・・・?」


お花?


ベットの横にある花瓶を見つめる。


「また増えてるもの。颯人君ってば優しいわ~」


花瓶の中に飾ってあるのは、色鮮やかなパンジーの花。


そういえば、来て早々花瓶に触れていたっけ。


花を入れるためだったのね。






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