最初で最後の恋

私の真剣な眼差しをうけ、ぽつりぽつりと話し始める。


「俺がここに居ないとき、俺の事好きだっていう奴がここに来たんだ」


「・・・・・・」


颯人君の言葉一語一句逃したくないかのように、私は静かに耳を傾ける。


「それで、そいつがお前に俺と別れろって言ったんだ」


「・・・っ」


「そこへ俺が来て。なんとか止めたんだけど、あいつ・・・・・」


そこで言葉を濁す。


「あいつ・・・・・・。俺に無理矢理自分の唇を押しつけたんだ」


ガンッ。


まさにそんな感じの効果音が最適だろう。


頭の上に重たい岩がのっかったような。


ハンマーで殴られたような。


なんとも言えない鈍い痛みが後頭部を直撃する。







{ん・・・っ!}



{やめろ・・・・!}





頭の中に、また映像が。


颯人君と・・・・・誰?


まさかこれは、今話していたことなの?




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