最初で最後の恋
「ほらほらー!なんかお願いごとしなくちゃ!」
颯人の背中をぽんと押す。
「瑠璃こそ、したら?」
「あたしのお願いはもう叶ってるからいいもんねー!」
へへっと笑う。
「俺も叶ってるからいいんだけど」
「えぇー!それじゃあ来た意味ないじゃんか」
「まぁ・・・そうだな」
そこでふっ、と笑う。
「どうした?」
「やっ、なんでもないよ」
「そうか」
渋い顔をした颯人が可愛く見えたなんて・・・・
言えないよね。
「あの綺麗な海を見れただけでよしとするか」
「そうだね!」
私たちは教会を出て、浜辺を歩いた。
私は履いてきたヒールを脱いだ。
「一度やってみたかったんだよね。浜辺で追いかけっこ」
「それ、マジで言ってる?」
「大マジだよ」
はぁ・・・・・とため息をつく颯人。
そんな颯人をよそに、私は走り出す。
「追いかけて~」
「ったく・・・」