最初で最後の恋
他愛もない口論をしていたら、いつの間にかリンゴはなくなっていた。
「ふふっ」
隣で見ていたお母さんが笑う。
「どうしたの?お母さん」
そんなおかしいことでもしたっけ?
「瑠璃が前みたいに明るくなってるわ」
確かに。
最近病院内で笑うことってなかったかも。
「颯人君のおかげね。ありがとう」
「そんな・・・・・瑠璃は元々明るくていい子ですよ」
お母さんの言葉も嬉しいけど、颯人の言葉も嬉しい。
お母さんに謝らないとね。
「お母さん。さっきはごめんね」
「あら?どうしたの?」
「怒鳴ったりして、ごめんね」
今なら素直に言える。
「あら?なんのことかしら?」
とぼけた風なお母さん。
いつもいつも私を責めない。
そんなお母さんには、いつも助けられてる。
「お母さん大好きっ!」
と、お母さんに抱きついた。