最初で最後の恋
誰も、なにも悪くないのに。
怒鳴ってしまう自分が嫌い。
無言で部屋から出ていくお母さん。
それとまた入れ替わりに、誰かが入ってきた。
私の部屋は二人制。
私は奥の窓側のベットに寝ているけど。
カーテンで遮られた向こう側のベットには、新しい人が来たみたい。
長い間入院しているから、同室の人が変わるなんて、よくあることだった。
私はカーテンを開けた。
「同じ部屋の、水瀬瑠璃(ミナセルリ)です。よろしくね!」
いつもと同じ。
隣のベットに誰かが来るたびに、繰り返す自己紹介。
驚いたのは、その人の顔を見たとき。
ベットに横たわっていたのは、若い男の人。
同学年くらいかな?
そんな人初めてだった。
いつもはお姉さんか、おばさんか、おじさんとかだったから。
私の声に反応して、体を起こす。